売掛債権の消滅は破産手続の終結決定があった日と裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:04/07/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 売掛債権の全額回収ができなくなった時期がいつであるか否かが争われた事案で、国税不服審判所は破産手続の終結決定に伴ってその債権が消滅した事業年度の貸倒損失となると判断、審査請求人である法人の主張を棄却した。

 この事案は、売掛債権の全額を回収できなくなったことに伴う貸倒損失及び貸倒損失に係る消費税額の取扱いをめぐって、原処分庁が売掛債権の全額を回収できないことが明らかになったのは審査請求人が主張する事業年度の前事業年度に発生した金額であるから、請求人が主張する事業年度の損金の額には算入できないとして法人税、消費税及び地方消費税の更正処分等を行ってきたことに対して、製品製造業を営む同族会社である請求人が、破産法人に係る売掛債権の全額回収ができないことが明らかになったのは当該事業年度であると主張、更正処分の一部取消しを求めていたという事案だ。

 つまり審査請求人は、破産法人の破産に疑念を持ち、最後に配当された後も売掛債権の回収を図ろうとしつつ、最終的には請求人自らが主張する事業年度において回収不能と判断したのであるから、当該事業年度の貸倒損失になると主張していた。

 しかし裁決は、破産法人に係る破産手続はすべて適法に行われ、法律上、破産手続の終結決定があった日に法人格が消滅したものと認められることから、請求人が有する破産法人に対して有していた売掛債権はその終結決定の日に消滅したと認定。その結果、請求人である法人が有していた売掛債権は終結決定のあった事業年度の貸倒損失であり、請求人が主張する事業年度の貸倒損失とすることはできないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2008.06.26裁決)