譲渡契約が作出された虚偽の外形ではないと認定、逆転判決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/29/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 連結親法人が連結子法人に支払った29億円超の金額が著作権等の対価に該当するのか寄附金に該当するのかの判断が争われた事件で、控訴審の東京高裁(塚原朋一裁判長)はソフトウェアの著作権が、親法人がその開発費用を支出した都度、黙示的に子法人から親法人に譲渡されていたなどの特段の事情は認められないことから、子法人に支払われた金員は寄附金に該当しないと判断、国側の主張を棄却する逆転判決を言い渡した。

 この事件は、連結親法人が連結の子法人に著作権等の譲渡対価として支払った29億円超の金額に対して、原処分庁が寄附金に該当すると認定して損金算入を否認、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたためその取消しを求めて提訴したところ、一審が取消請求を棄却したことから、控訴の上、更にその取消しを求めていた事案。つまり原審が、ソフトウェアの著作権の譲渡契約は敢えて作出された虚偽の外形に該当するから、その譲渡代金は寄附金に該当するという原処分庁側の主張を認容したからだ。

 これに対して東京高裁は、ソフトウェアの開発から譲渡契約が交わされるまでの事実関係を認定した上で、ソフトウェアを開発する都度、その著作権が親法人に移転するという黙示の譲渡合意があったとは認められないと指摘。その結果、ソフトウェアの著作権が譲渡契約前に親法人に譲渡されたものとは認められないから、譲渡契約が敢えて作出された虚偽の外形であるため子法人に支払われた譲渡代金が寄附金に当たるとした国側の主張には理由がないと判示、原審判決を取り消す逆転判決を言い渡した。

(2010.05.25東京高裁判決、平成21年(行コ)第10001号)