外国税額控除の可否をめぐる争いは最高裁で法人側が逆転勝訴
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:01/06/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 タックス・ヘイブン国で再保険業を営む-会社が特定外国子会社等に該当するか、また租税として納付したものが外国税額控除の対象となる外国法人税か否かの判断が争われた事件で最高裁第一小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は、国側の主張を認めて法人側の請求を棄却した一審・二審判決を破棄、法人側の主張を全面的に認容する逆転判決を言い渡した。

 この事件は、損害保険業を営む内国法人の申告をめぐり、原処分庁がいわゆるタックス・ヘイブン国に設立した再保険業を営む子会社を内国親法人の特定外国子会社等に該当すると認定した上で、タックス・ヘイブン対策税制(措法66の6)の課税対象留保金額に相当する金額を内国法人の所得金額の益金に算入、更正処分等及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたことが発端になったもの。

 このため、日本国内の親法人が課税処分の取消しを求めて提訴したものの、一審、二審ともその主張を斥けたことから、上告して更に課税処分の取消しを求めて争ってきたという事案だ。つまり、海外にある子会社がタックス・ヘイブン対策税制上の特定外国子会社に該当するか否か、また子会社が納付した金額が外国法人税に該当するか否かが争点になっていたという事案だ。

 これに対して最高裁は、外国税額控除を定めた法人税法69条が外国法人税を我が国の法人税に相当する税でなければならないと定めていることに触れ、租税法律主義に鑑みれば、外国法人税に該当するか否かの判断は法人税法69条3項1号、2号に照らして行うべきであると解釈。つまり、この1号、2号の規定を離れて一般抽象論的に検討して、我が国の基準に照らして法人税に相当する税とはいえないことから外国法人税の該当性を否定することは許されないという判断だ。結局、この事件における外国税は、争いとなった海外の地で子会社の所得を課税標準として課された税であり、租税に当てはまらないということはできないと認定して、納税者の主張を認める逆転判決を下している。

(平成21年12月3日最高裁第一小法廷判決、平成20年(行ヒ)第43号)