宗教法人が行うペットの葬祭等は収益事業に該当すると判決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/24/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 宗教法人がペットの葬儀や供養等(ペット葬祭業)を行って金員を得ることが法人税法2条13号に定める収益事業にあたるか否かの判断が争われた事件で、名古屋地裁(加藤幸雄裁判長)は、法人税法が宗教的意義の有無や強弱を特掲の事業該当性の判断基準とする立場を採用していないと判示、宗教法人の訴えを棄却した。

 この事件は、死体の引取り、葬儀、火葬、埋蔵・納骨、法要等のペット葬祭を行っている宗教法人がペット葬祭業は宗教的行為であり収益事業にはあたらないと判断、法人税の申告をしなかったことが発端になったもの。これに対して原処分庁が収益事業に該当すると認定、法人税の決定処分、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、宗教法人が原処分の取消しを求めて抗告訴訟していたという事案だ。

 宗教法人側は、人の葬儀・供養と伴侶動物という認識が一般化しているペットの葬儀・供養とを別のものと考えることには疑問があると提示、ペット葬祭業も宗教的行為の一つであるから収益事業にはあたらないと主張して、課税処分の取消しを求めていた。

 これに対して判決は、公益法人の収益事業として33事業を特掲していることに触れ、法人税法は宗教的意義の有無、強弱をこれら33の特掲事業の事業該当性の診断基準とする立場を採用していないと指摘。また、原告の宗教法人があらかじめ葬祭等の料金を設定していることに触れ、ペットの葬儀(合同葬・一任葬・立会葬)、遺骨処理、死体引取り、法要等はそれぞれ請負業、倉庫業に該当する他、塔婆・骨壺塔の販売は販売業に該当すると認定、宗教法人のいずれの主張にも理由がないと判示して、棄却している。  

(2005.03.24名古屋地裁判決、平成17年(行ウ)第4号)