毎年の誕生日祝金の支給は給与所得にあたると裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/31/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 すべての使用人に対して、毎年、誕生月に支給される誕生日祝金が給与所得に該当するか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は支給形態が広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められないため給与所得にあたると判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、誕生祝実施要領に基づき、毎年、各使用人の誕生日に独身者1万円、既婚者1万5000円の誕生日祝金を支給していた同族会社に対して、原処分庁が給与所得と認定した上で、源泉所得税の納税告知処分、不納付加算税の賦課決定処分をしてきたため、同族会社が審査請求して原処分の取消しを求めていたという事案だ。

審査請求人は、誕生日祝金の支給は使用者と使用人との間に限らず広く一般的に行われているもので、給与等として課税しなくても差し支えない結婚祝金品等の類に該当する(所基通28-5ただし書き)と主張して原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、所基通28-5の例外的取扱いが認められるには、金品の交付が広く一般にかつ社会的な慣習として行われていることを要すると解釈。その上で、事案のような誕生日祝金はすべての使用人が請求人に雇用されている限り、毎年、誕生日に支給されるものであって、その支給形態等において広く一般に社会的な慣習として行われているとは認めがたいと指摘して、請求人の主張を斥けている。

 従業員のインセンティブや雇用の確保を考えれば企業努力の一つとして認めても良さそうな事案だが、結局、原処分庁が主張しているような廉価な花束やケーキ等ならばOKということだろうか。

(国税不服審判所、2003.09.25裁決)