ビール券の送付先の記載がなくとも使途秘匿ではないと裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/13/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 ビール券や商品券を引き渡した行為が、租税特別措置法上の使途秘匿金に当たるか否かの判断が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことにはそれ相当の理由が認められるから使途秘匿金の支出にはあたらないと判断、原処分を一部取り消す裁決を下した。

 この事案は、バネ製造業を営む審査請求人が行った商品券とビール券の引渡しの一部が使途秘匿金に該当する否かが争われていたもので、審査請求人はそれらの購入費用を交際費等の額に計上して申告したのが発端。しかし、商品券等の引渡しの相手方の氏名等が帳簿書類に記載されていなかったため、原処分庁が使途秘匿金と認定、40%加算の増額更正処分とともに過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 これに対して裁決は、ビール券が購入先を通じて通常の中元、歳暮の時期に配送されたことが認められること、またビール券の配送先は請求人が審判所に提出した購入先保管の最も古い配送申込票の写しと請求人保管の最新の配送申込票の控えに記載されたビール券の送付先がいずれも取引先の関係者であること、さらに配送先1件当たりの配送枚数からみて、中元や歳暮用品として金額的にも相当であることなどを理由に、ビール券の配送先を帳簿書類に記載しないのが通例であると認定した。その結果、ビール券の引渡しの相手方の氏名等を帳簿書類等に記載していないことにもそれ相当の理由があることから、その引渡しは使途秘匿金の支出には当たらないと判断、原処分を取り消している。
 
(国税不服審判所、2003.06.19裁決)