帳簿書類の提示に応じ難いとする格別な理由は認められないと判示
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/10/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 税務調査時の帳簿書類等の不提示をめぐって、法人税の青色申告承認の取消し及び消費税の仕入税額控除の適用の可否が争われた事件で東京地裁(谷口豊裁判長)は、税務調査の際に帳簿書類の提示の求めに応じ難いとする格別な理由もないことから、青色申告承認の取消し及び消費税の仕入税額控除の適用も認められないと判示して、棄却した。

 この事件は、塗料の販売等を行う法人が、税務調査の際の帳簿書類の不提示を理由に、法人税の青色申告承認の取消し及び消費税の仕入税額控除を否認され、過少申告加算税の賦課決定処分等を受けたことから、青色申告承認の取消事由及び仕入税額控除の不適用事由には該当しないと反論、原処分の取消しを求めて提訴した事案だ。

 つまり、帳簿書類の不提示を理由にした法人税の青色申告承認の取消事由、消費税の仕入税額控除の不適用事由の該当性が争点になった事案だが、法人側は社会的相当性及び無予告調査の必要性を欠く法的根拠のない違法な調査であり、物理的に不可能な提示要求であったと主張して取消しを求めた。

 これに対して判決はまず、青色申告承認の取消事由、消費税の仕入税額控除の不適用事由の趣旨を整理した上で、調査理由の開示を含め、調査時の帳簿書類の提示の求めは適法であり、法人側に帳簿書類の提示の求めに応じ難いとする格別な理由があったとは認められないと指摘した。

 つまり、調査時点において所定の帳簿書類を保管していたかどうかにかかわらず、帳簿書類の検査の際に適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存することをしていなかったし、帳簿書類の提示に応じ難いとする格別の理由もないままに提示を拒み続けたものということができるという判断をしたわけだ。

 そうした判断の下に、法人税の青色申告承認の取消事由、消費税の仕入税額控除の不適用事由のいずれにも該当すると判示した、法人側の主張を全面的に斥ける判決を言い渡した。

(2013.11.12 東京地裁判決、平成24年(行ウ)第143号)。