事前確定届出給与の要件を満たしていないと判断して棄却
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/10/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 事前確定届出給与として支給した役員給与が損金算入要件を満たしているか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、職務執行開始日から1ヵ月経過日までに株主総会等の決議等によって支給すべき確定額、確定時期を定めていたとはいえないと認定して、原処分の取消しを求めた審査請求を棄却した。

 この事案は、プレハブ住宅の施工及び販売を営む法人が審査請求していたもので、事前確定届出給与として役員に支給した給与を損金に算入して申告したのが発端。しかし原処分庁が、事前確定届出給与には該当しないと判断して損金算入を否認、法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求したという事案だ。

 請求人側は、期首に年俸通知書により期末報酬額を期末に支給する旨を通知し、その旨を記載した事前確定届出給与に関する届出書を期限内に税務署長に提出しているから損金算入要件を満たしていると主張して、原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、事前確定届出給与は職務執行の開始の日から1ヵ月を経過する日までに役員給与の支給時期や支給金額が確定していることが求められると解釈。しかし、請求人が職務執行の開始の日から1ヵ月を経過する日までに株主総会の決議等によって、役員給与の支給すべき確定額及び確定時期を定めていたとはいえないと認定した上で、事前確定届出給与に関する届出書において支給対象者とした役員に支給した給与は事前確定届出給与には該当しないと判断して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2010.05.24裁決)