卒業記念パーティ費用は交際費には該当しないと裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:01/06/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 料理教室業等を営む法人が卒業式の際に各出席者に供与した昼食等の費用が交際費に当たるか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は昼食等を供与した行為は卒業式の式次第を構成する一要素にすぎないと判断、交際費認定した原処分を全部取り消した。

 この事案は、複数の料理教室業等を営む法人がいわゆる卒業記念パーティの際に各出席者に供与した昼食等の費用を広告宣伝費に計上して申告したところ、原処分庁が交際費等と認定した上で法人税の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、法人側が交際費には当たらないと反論、原処分の全部取消しを求めていたものだ。

 これに対して裁決は、卒業式が1)所定の授業課程の修了者が講師の資格を取得して受講生を指導する立場になる区切りとして免除の授与を中心に行われていること、2)規模の拡大とともにホテルを会場とするに至ってきたこと、3)教室が全国に存在し、遠距離地域からの出席者もいるため開始時間・終了時間が設定され、かつ長時間に及ぶため昼食時間をまたいで行われていること、4)供与される食事は社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲であり、酒類も儀礼的な乾杯のために供与されるものであるといったこと等を認定した。

 その事実認定にそって総合的に判断すれば、卒業式は卒業生への終了免状の授与を目的にした区切りの行事であり、卒業式の中間に出席者に昼食等を供与する行為は、各卒業式の式次第を構成する一要素に過ぎないと指摘するとともに、事業関係者との親睦を密にして取引関係の円滑な進行を図る目的ではないとも指摘、交際費等には該当しないと判断して原処分を全部取り消す裁決を下している。

(国税不服審判所、2008.04.25裁決)