外国子会社株式の評価損は事業計画等も含めた判断が必要
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:04/20/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 事業年度終了時の資産状態の著しい悪化を理由に外国子会社株式の評価損が認められるか否かが争われた事案で、国税不服審判所は事業年度終了時までの子会社の業況等のみではなく、具体的な実行が決定されている事業計画等までも含めて判断するのが相当であるから、子会社株式の評価損を否認した原処分を妥当と判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、親会社である請求人の子会社の資産状況が著しく悪化したことに伴い株式の価額が著しく低下したとして損金に算入して申告したことが発端になったもの。これに対して原処分庁が子会社株式の価額の回復可能性がないとはいえず、また子会社に対する増資払込後1ヵ月程度が経過した事業年度終了時に評価損が計上されており、増資から相当の期間が経過していないことからも、子会社の業績等の回復見込みがないとはいえないと判断、更正処分等をしてきた。

 そこで請求人は、増資の実質はつなぎ資金の貸付けであり、子会社の業績回復に直結する経済的効果はなく、株式の価額に回復は見込まれないと反論、損金算入を認めるべきと主張して原処分の取消しを求めていた事案だ。

 しかし裁決は、株式の価額の回復可能性は事業年度終了時の株式発行法人の業況等のみではなく、既に実行が決定されている事業計画等がある場合はそれまでも含めて検討するのが相当と指摘。しかも、請求人の取締役会で外国事業の経営改善計画として追加出資を行うことが決定されている以上、その経営改善計画の実施によって単年度ベースで利益が生じ、資産状態が改善の方向にあることも認められるから、事業年度終了時において株式の価額の回復が見込まれないとまではいえないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.04.02裁決)