控訴審は外国税額控除に係る更正の請求を認める逆転判決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/19/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 外国税額控除制度の適用をめぐって、申告書別表への受取配当金額の転記誤りから納付すべき法人税が過大になった場合も、更正の請求が認められるか否かの判断が争われた事件で、福岡高裁(石井宏治裁判長)は一審の大分地裁の判決を取り消し、記載金額や計算誤りがあったために結果的に申告記載した金額が過少になっている場合に該当し更正の請求が認められると判示、法人側の主張を全面的に認める逆転判決を下した。

 この事件は、法人税の申告の際に、経理担当者が外国の子会社からの受取配当金額を誤認、その一部のみを申告書別表に転記したため納付すべき法人税額が過大になったことから更正の請求をしたのが発端になったもの。しかし、一審の大分地裁が法人側の請求を棄却したため、これを不服とした法人が控訴、再度、課税処分の取消しを求めていた事案だ。

 つまり、外国税額控除の適用を受けるにあたって、添付資料から申告書別表に受取配当金額を転記する際、資料内容の誤認、また錯誤からその一部に過ぎない金額を誤って記載した結果、控除金額が過少になるとともに納付すべき法人税額が過大となった場合も、更正の請求が認められるか否かの解釈が争われていたわけだ。

 控訴審は、控除対象法人税の計算の基礎とできる場合に、誤ってその一部のみを控除対象法人税額の基礎とした結果、控除税額が過少となり支払うべき法人税の額が過大になったときも、更正の請求が認められる場合の要件に該当すると判示、法人側の請求を認める判決を下した。つまり、法律上、法人の選択に委ねられる事項について、選択しなかったこと自体が税法上適法な行為になるため、選択した場合に比して納付税額が過大になったとしても更正の請求が認められないような場合とは事情が異なるという考え方だ。

(2007.05.19 福岡高裁判決、平成18年(行コ)第12号)