1年以上遊休状態にあった土地の評価損の計上を否認
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/17/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 1年以上遊休状態を余儀なくされた土地の評価損の計上が認められるか否かの可否判断が争われた事案で、国税不服審判所は1年以上遊休状態にはあったものの、その土地の価額が帳簿価額を下回ったとまでは言えないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、建築材料の販売を営む同族会社が材木販売の営業上、顧客の大工等に材木刻み場を提供するため土地を賃借していたが、立退きを迫られたことから急遽その代用地を購入したものの、業界の環境変化によって材木販売業者が材木刻み場を顧客に提供する必要がなくなり、本来の用途に使用できないまま閉鎖され、遊休状態になったことが発端になったもの。

請求人にとっては利益形成に結びつかない資産として利用価値を失うとともに、土地相場の下落に伴い、地価も取得時の3分の1程度の価値に下がってしまったというわけだ。そこで、法人税法33条2項に基づき評価替えを行ってその評価損を損金に算入して申告したものの、原処分庁がそれを否認、更正処分を打ってきたため、原処分の取消しを求めて審査請求したというケースだ。

審査請求人は、材木刻み場として取得した土地が法人税法施行令68条3号ロの「1年以上にわたって遊休状態である」ことに該当し、地価も帳簿価額を下回っていることを主張して、原処分の取消しを求めていた。

 しかし裁決は、評価損を計上できるのは法人税法33条2項が「災害による著しい損失等によってその価額が帳簿価額を下回る状態になった場合」と規定していることに触れ、1年以上遊休状態にあったとはいえ、そのことによって土地の価額が帳簿価額を下ることになったといえるような事実は認められないと指摘、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2003.01.28裁決)