外国税額控除の計算ミスでも更正の請求可能
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/20/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 外国税額控除の適用を受けることを選択した法人が、控除税額の計算ミスにより税額が過大になった場合、更正の請求ができるとする裁決があった。外国税額控除の適用を選択して申告を行った請求人は、申告書の記載金額について誤った為替レートで計算するなど、多数の計算ミスがあり税額が過大になったことから更正の請求を行った。ところが、国税局が「更正の請求をすべき理由がない」との判断を下したことから審査請求が行われたもの。

 国税通則法(第23条第1項)には、申告書に記載した納税額などに計算ミスがあった場合は、更正の請求ができると書かれている。しかし、法人税法(第69条16項)では、外国税額控除の適用により控除される税額は「申告書に記載された金額」とされていることから、国税局は請求人の行った申告は適法な行為に当たり、更正の請求する理由がないことを主張。

 これに対し国税不服審判所は、「同控除は、納税者の選択により国際的な二重課税を排除するために設けられ、控除される金額が『申告書に記載された金額』と規定された趣旨は、同控除の適用・不適用やその範囲をいったん選択した納税者が、後の修正申告・更正の請求により控除額の増額を主張しないようにすることにあった」としたうえで、請求人が提出した申告書の記載内容や資料の添付状況から、同控除の適用を受ける選択をしたことは明らかであり、単純な計算ミスにより税額が過大になったこのケースでは、控除税額を「法令に基づき是正した上で正当に算定される金額」とする裁決を下した。