買換えの際の建物が譲渡資産の場合の零面積論は妥当と判示
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/29/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 法人が行った建物から土地への買換えをめぐって固定資産圧縮損加算特例の適用の可否が争われた事件で、松山地裁(高橋正裁判長)は買換特例における面積制限の立法趣旨は建物を譲渡資産として土地等を買換資産とする場合にも当てはまると判示、法人が取得した土地は買換資産には該当しないとした更正処分は適法であると判断、棄却した。

 この事件は、法人が行った譲渡資産を建物とし買換資産を土地とした買換えに対して、原処分庁が租税特別措置法65条の7第2項の対象となり、譲渡資産である土地の面積が零となり取得した土地の面積の全部が零を超える部分に対応することになるから、取得した土地は買換資産には該当せず、同条1項22号の固定資産圧縮損加算の特例の適用は認められないとして更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分を行ってきたことから、法人がこの原処分を不服としてその取消しを求めていたもの。

 つまり、建物を譲渡して土地に買い換えた場合のいわゆる面積制限措置が、建物を譲渡資産とした場合にも該当するか否かが争われていたわけだ。原処分庁は譲渡資産が建物であることから、面積制限の計算の基礎となる土地等の面積は存在しないという零面積論を展開、買換資産である土地等はすべて面積制限を超えると主張して取消請求の棄却を求めていた。

 これに対して判決は、買換特例の適用要件に設けられているいわゆる面積制限の立法趣旨に触れた上で、建物のみを譲渡資産として土地等を買換資産とした場合にも適用されると解釈して法人側の主張を悉く否定。結局、法人が取得した土地は買換資産には該当しないと判断した原処分の考え方は適法であると判示、請求を棄却している。

(2007.08.28 松山地裁判決、平成18年(行ウ)第15号)