法人税の負担減少が不当とまでは認められないと判示、国側敗訴
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/08/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 内国法人が海外の親法人から日本IBMの全発行済株式を取得した後、再度、その一部を日本IBMに譲渡して生じた譲渡損失に係る欠損金額を連結所得の計算上損金に算入して連結納税の申告をしたことに対して、同族会社の行為計算否認規定が行使されたことの可否が争われた事件で、東京地裁(八木一洋裁判長)は、法人税の負担を減少させることが不当なものと認めるには足りる理由がないと判示して、国側の主張を全面的に斥けた。

 この事件は、海外の親法人から日本IBMの全発行済株式を取得した内国法人が、発行元の日本IBMに譲渡した結果生じた譲渡損失を損金に算入、その欠損金額を連結所得の損金に算入して申告をしたことが発端。この申告に対して原処分庁が、同族会社の行為計算否認規定を行使、損金算入を否認する旨の更正処分をしてきたため、内国法人が原処分の取消しを求めて提訴したという事案である。

 判決は、同族会社の行為計算の否認規定の趣旨を解釈した上で、まず原告法人を日本IBMの中間持株会社にしたことに正当な理由や事業目的がなかったとは言い難いと指摘。また、一連の行為を構成する融資も独立した当事者間の通常の取引として到底あり得ないとまでは認め難いも指摘した。

 さらに、有価証券の譲渡を含む一連の行為に租税回避の意図が認められるか否かについても、近い将来に連結納税の承認を受けて有価証券の譲渡に伴う譲渡損失額を連結所得金額の計算上損金に算入することを想定した上で、プロジェクトの実行を承認した後、グループ全体でそれを想定して一連の行為をしてきたものとまでも認めがたいと指摘して、原処分庁側の主張を悉く斥けている。国側は判決内容を不服として控訴した。

(2014.05.09東京地裁判決、平成23年(行ウ)第407号他)。