映画フィルムリースに係る減価償却費の計上を最高裁も否定
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:02/14/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 映画フィルムリースを事業目的に掲げる民法組合に出資した法人が、映画フィルムに係る減価償却費の計上が認められるか否か争われてきた事件で最高裁(藤田宙靖裁判長)は、組合が実質的に映画の使用収益・処分権限を失っており、事業の用には供していないと判断、控訴審の判決内容の論旨は採用することができないものの、減価償却費の計上を否認した結論部分は是認できると判断、上告人(法人)の主張を却下・棄却した。

 この事件は、映画フィルムリースを目的にする民法上の組合に投資した日本法人が、申告の際に投資した映画に係る自己の出資持分相当額(9分の1)に応じた金額を器具備品勘定に計上するとともに、耐用年数を2年とする減価償却費を損金に計上して申告したところ、原処分庁が減価償却費の損金算入を否認、更正の上、過少申告加算税を賦課決定してきたため、審査請求を経て提訴したわけだが、1、2審とも法人側の主張を斥けたことから上告して課税処分の取消しを求めていたという事案だ。

 控訴審は、租税回避を目的に契約書上、組合が映画の所有権を取得するという形式や文言が用いられたに過ぎないと認定、減価償却費の損金算入を否認した原処分は妥当であると判断、棄却していた。

 しかし最高裁は、控訴審の判決の結論(棄却)は是認できるものの、論旨は採用できないと指摘。つまり最高裁は、組合が売買契約によって映画の所有権等の権利を取得したとしても、その権利のほとんどが配給契約によって配給会社に移転し、実質的な使用収益と処分の権限を失っているため、組合の事業に係る収益を生む源泉とは認められず、事業の用に供しているとも認められないという理由から、減価償却費の損金算入を否定したわけだ。

(最高裁第三小法廷、2006.01.24判決、平成12年(行ヒ)第133号)