都市再開発法に基づく補償金等は収益に算入されずと全部取消し
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/16/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 申告書に添付した取得予定資産の明細書が買換特例の適用要件を満たす書類と認められるか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、都市再開発法に基づいて収受した土地に係る補償金及び土地の明渡し等に伴う補償金等は係争事業年度の収益には算入されないと判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は審査請求人が、租税特別措置法が定める特定資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法65の8)を適用し、特別勘定への繰入額として経理した金額を損金に算入して申告したところ、原処分庁が買換特例の適用要件である財務省令が定める書類の不備を理由に特例の適用を否認してきたのが契機になっている。
 
 そこで請求人が、記載内容に不備はあるものの、申告書に「特定の資産の譲渡に伴う特別勘定を設けた場合の取得予定資産の明細書」を添付しているから、買換特例の適用がないとして行われた原処分は違法であると主張して、一部取消しを求めて審査請求したという事案だ。
 
 これに対して裁決は、都市再開発法に基づく権利変換処分が行われた場合は、施行者は権利変換期日までに施行地区内の土地所有者に対して補償金の支払義務を負い、明渡しの期限までに土地及び物件等の権利を有する者に対して移転補償金等の支払義務を負う一方で、土地は権利変換期日に新たに所有者となる者に帰属し、土地又は物件を占有している者は明渡しの期限までに施行者に土地又は物件を引き渡す義務を負うことから、権利変換処分を受けた施行地区内の土地及び物件を有する者は、土地に対する補償金は権利変換期日に、また移転補償金等は土地及び物件の明渡しの期限に収入すべき権利が確定していると解釈した。

 しかし、権利変換処分に係る権利変換期日並びに土地及び建物の明渡しの期限はいずれも係争事業年度の前事業年度に属するから、土地補償金及び移転補償金等はいずれも前事業年度の益金に算入すべきであると判断して、原処分を全部取り消している。

(国税不服審判所、2012.10.05裁決)