海面使用料は組合員ではなく漁業協同組合に帰属すると裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:01/06/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 砂利採取業者等から漁業協同組合に支払われた海面使用料が漁業協同組合、組合員に帰属するか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は海面使用料に関する契約・請求の当事者が漁業協同組合であることなどを理由に、砂利採取業者等から海面使用料の支払いを受けた段階で漁業協同組合に確定的に帰属していると判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、共同漁業権等・漁業権の行使権を有する漁業協同組合が砂利採取業者等から受領した海面使用料の総額3億円余を仮受金として処理して、申告したことが発端になったもの。

 しかし、原処分庁は海面使用料が組合員の損失を補償するための漁業補償金とは認められないことから、海面使用料を受領した段階で漁業協同組合の益金に算入すべきであり、組合員に配布すべきものとして受け入れた金員であるとは認められないと判断、更正処分を打ってきたため、漁業協同組合がその取消しを求めていたという事案だ。

 請求人の漁業協同組合は、海面使用料は組合員に対する漁業補償金であるから、漁業協同組合の所得として課税するのは違法であると主張していたわけだ。

 これに対して裁決は、組合員が有する漁業権の行使権は組合員としての地位と不可分の社員権的権利、かつ共同漁業権に附従する第二次的権利である結果、砂利採取業者等との関係も間接的なものとなることから、漁業操業上の損害を請求することはできないと判断した。

 つまり、それを請求できるのは共同漁業権を有する漁業協同組合のみであるという判断からだ。結局、海面使用料に関する契約・請求はいずれも漁業協同組合が当事者になっていることからすれば、海面使用料は砂利採取業者等から支払いを受けた段階で漁業協同組合に確定的に帰属していると判断して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2005.09.21裁決)