母親への非常勤役員報酬を類似法人の支給状況を根拠に否認
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:09/12/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 代表者の母親である非常勤役員に支払った役員報酬が過大か否かが争われた審査請求事案で、国税不服審判所は原処分庁の類似法人の選定は合理的で、適正額の算出方法にもそれぞれの類似法人の特殊性を捨象するという点で妥当と判断、審査請求を棄却した。

 この事案は建築及び住宅リフォーム等を行う同族法人の代表取締役が、設立時以来、非常勤の取締役として就任してきた母親に月額300万円程度の役員報酬を支払っていたことが問題になったもの。国税局職員の調査に基づいて、原処分庁がこの非常勤役員報酬のうち不相当に高額な部分の損金算入を否認、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたことから、これを不服として審査請求していた事案だ。

 原処分庁は、母親の非常勤役員としての職務は従業員からの相談を受けるだけで他に取締役としての決められた職務がないことから、その職務内容に照らせば、類似法人と比準しても適正な報酬額は130万円、180万円程度にとどまるという主張をした。

 請求人は、母親の設立時の尽力、設立後も代表取締役の相談相手として経営に参画していることから、原処分庁が過大と指摘するのも一部は認めるものの、適正報酬額は550万円であると反論、原処分庁が損金算入を否認した額を上回る部分の金額までは損金算入が認められるべきであると反論していた。

 これに対して裁決は、非常勤取締役である母親の職務内容からみても、従業員への支給額をもってその支給の根拠とすることはできないこと、また原処分庁の類似法人の選定、支給状況等を参考に適正報酬額を算定したのも妥当と判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2005.12.19裁決)