連続して申告書を提出しているか否かは申告書提出時に決定
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/23/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 繰越欠損金の損金算入要件である「連続して確定申告書を提出している場合」に該当するか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は、損金算入が認められるか否かの判断は繰越欠損金を損金に算入しようとする事業年度の確定申告書の提出時に定まっていなければならないと解釈して、法人が行った審査請求を棄却した。

 この事案は、法人が繰越欠損金を損金に算入して申告書を提出したところ、原処分庁がその申告書の提出時において欠損金が生じた事業年度後に無申告の事業年度があり、連続して申告書が提出されていないことを理由に更正処分等をしてきたため、請求人がその取消しを求めていたもの。つまり、法人側は更正処分前に無申告であった事業年度に係る申告書を提出しており、法人税法57条10項の「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当すると主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、繰越欠損金を損金に算入できるのは、遅くとも、内国法人が各事業年度の申告書の提出時までに定まっていなければならないため、法人税法57条10項が定める「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当するかどうかも、各事業年度に係る申告書の提出時までに定まっていなければならず、それは欠損金が生じた事業年度後の各事業年度に係る申告書が提出済みの場合をいうと解釈。

 つまり、繰越欠損金に係る申告書を提出した時点において、更正処分前に無申告であった事業年度に係る申告書を提出したとしても、繰越欠損金額が生じた事業年度から連続して申告書を提出していることにはならないと指摘、審査請求を棄却したわけだ。

(国税不服審判所、2008.03.14裁決)