未経過固定資産税等相当額は固定資産の取得価額に算入が妥当
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/03/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 土地の売買をめぐって、未経過固定資産税等相当額を固定資産の取得価額に算入すべきか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、未経過固定資産税等相当額は譲受資産に係る購入対価を構成するものであるから固定資産の取得価額に算入すべきであると判断して、審査請求を棄却した。

 この事件は、菓子製造業等を営む同族会社が、土地及び建物を譲り受けた際、譲り受けた年度の固定資産税及び都市計画税のうち土地等の引渡しの日以後の期間の分に相当する額を譲渡人に支払ったことを受けて、その金員の額を損金に算入するなどして法人税の申告をしたのが発端。

 これに対して原処分庁が、譲渡人に支払った金員は土地等の取得価額に含まれるという判断から法人税の更正処分等をしてきた。そこで請求人が、未経過固定資産税等相当額の金員は租税公課そのものであり、譲り受けた土地等の取得価額に含むべきものではないなどと反論、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 しかし裁決は、固定資産税等は地方税法に基づき1月1日時点における不動産の所有者が納税義務を負うと指摘。その上で、賦課期日後に所有者となった譲受人が固定資産税等の納税義務を負うものではないから、譲受人から譲渡人に支払われた未経過固定資産税等相当額を租税公課そのものであるということはできないと請求人の主張を斥け、売買当事者間で合意に基づき授受された未経過固定資産税等相当額は、あくまでも合意された売買の取引条件の一つであり、その条件を満たさないことには売買取引そのものが完了しないと考えられることから、未経過固定資産税等相当額は取得に関連する費用ではなく、狭義の購入の代価として取得価額に含まれると解するのが相当であると判断、審査請求を棄却した。

(2013.08.30 国税不服審判所裁決)