劣後特約付借入れの利息を過大と認定、損金算入を否認
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:09/22/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 親会社と結んだ劣後特約付きの借入れが法人税の負担を不当に減少させるものか否か、それに伴う寄附金認定された適正利率を超える利息の損金算入の可否が争われた事案で、国税不服審判所は経済的合理性のない不自然な借入行為と認定、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が親会社との間で取り組んだ劣後ローンに対して、原処分庁が劣後ローンを組む合理的な理由がなく、その支払利息は寄附金に当たると認定、更正処分をしてきたため、その取消しを求めていたもの。請求人は親会社からの劣後特約付きの借入れは1)組織再編に伴うメーカーや卸業者からの保証金差入れの要求に備えるため、2)設備投資及び新店舗の展開を行うため、さらに3)財務体力・信用力の維持を同時に実現するために行ったものであるから合理性があると主張を展開、原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、借入時点において請求人が十分な事業資金を有しており、劣後特約を付して高率の利息を支払ってまで借入れを行う必要性は全く認められないことから、通常の経済人を基準にすれば、経済的合理性のない不自然・不合理な行為と認められ、結果的に法人税を不当に減少させるものであると認定した。

 その結果、法人税法132条(同族会社の行為計算の否認)を適用して劣後特約を否認し、劣後特約の付されていない借入れに弾き直せば、適正な利率は借入当時の取引銀行からの平均調達金利とするのが相当であり、それを超える支払利息は何ら対価性がなく、寄附金と認めるのが相当と判断した。ただし、審判所認定額は更正処分による金額をいずれも下回ることから、結果的には一部取消しという裁決の形になった。

(国税不服審判所、2007.07.23 裁決)