紛争回避目的の支払手数料名目の金員の支出を寄附金と認定
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/29/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 紛争回避のために支払手数料名目で支払われた金員の損金処理をめぐって寄附金に該当するか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は支払先に対する経済的利益の供与であり寄附金に該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が紛争回避を目的に支払った金員を支払手数料として損金処理したことに対して、原処分庁は、請求人が負担する合理的な理由がないと判断した上で、本来負担すべき者(受注先)に対する経済的利益の供与に当たるから寄附金に該当すると認定、法人税の更正処分、消費税の更正処分をしてきたため、その取消しを求めていたもの。

 請求人側は、支払手数料名義で支払った金員は、受注先の施設建設に係る近隣対策等の業務に対する妨害を排除するために支払われたもので、業務遂行上必要な費用であるから、寄附金の額には該当しないと主張していた。

 しかし裁決は、請求人の近隣対策等の業務が妨害された事実は認められず、その金員は受注先とその関係先との間で生じた紛争を回避するために受注先に支払われたものであると認めるのが相当と指摘。しかし、紛争回避をするための費用は特段の事情がない限り紛争当事者が負担すべきものであるところ、請求人が紛争回避の費用を負担すべき特段の事情は認められず、その金員が受注先との間で清算された事実もないと認定。その結果、請求人による支払手数料名目の金員の支出は受注先に対する経済的利益の供与に当たることから寄附金に該当すると判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2006.06.23裁決)