過大申告の修正経理に係る損失は更正により確定すると判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/27/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 仮装経理に基づく過大申告額を修正経理した場合に前5年以内の繰越欠損金を修正経理した各事業年度の損金に算入できるか否かの判断が争われた事案で国税不服審判所は、損金の額は仮装経理した各事業年度について税務署長が更正をすることによって確定するものであるから、繰越欠損金の損金算入は認められないと判断、審査請求を棄却した。

この事案は、土木工事業を営む同族法人が10期間にわたる仮装経理に基づく過大申告額の修正経理を行い、その全額を特別損失(過年度損益修正勘定)として損金算入するとともに、仮装経理した最初の期の過大申告額を別表4において所得金額に加算して申告したのが発端。これに対して原処分庁が修正経理した事業年度の損金にこの損益修正損を算入することはできないと更正してきたため、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 請求人は仮装経理に基づく過大申告額を修正経理した場合、修正経理に伴う損金算入額が法人税法57条に定める前5年以内の繰越欠損金額の範囲内であれば、損金算入の経理処理を認めるべきであると主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決はまず、損金に算入される額はそれがその事業年度に生じたものであることが必要であり、修正経理に係る損失は仮装経理した各事業年度について税務署長が行う更正によって損金として確定するものであり、欠損金相当額が繰越欠損金として控除されるのであると指摘。その結果、税務署長が減額更正できなかった欠損金は生じなかったと確定しているのであるから、本件事業年度の繰越欠損金の当期控除額として損金の額に算入することは認められないと判断、審査請求を斥けている。

(国税不服審判所、2005.02.24裁決)