従業員の死亡に伴う遺族補償金は損金に算入すべきと裁決
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/26/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 傷害保険契約に基づき従業員の死亡に伴って受け取った遺族補償金を損金に算入できるか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は支払義務を死亡保険金の50%相当額は死亡保険金を損金の額に算入されると判断、原処分を一部取り消す裁決を下している。

 この事案は、傷害保険契約に基づき従業員の死亡によって受け取った保険金を仮受金に計上したが、原処分庁が益金に算入すべきであるとして法人税の更正処分等をしてきたことに対して、審査請求人が保険契約時において受取保険金の50%以上の金額を遺族補償金として遺族に支払う旨の被保険者との合意があるから、遺族補償金として損金に算入すべきであると反論、原処分の一部取消しを求めた。

 しかし原処分庁は、合意書には具体的な金額の記載がなく、遺族に対する具体的な支払金額の提示もされていないことから、遺族補償金を受け取った事業年度の損金に算入することはできないと主張していた。

 これに対して裁決は、合意書は従業員に対する災害補償規定を兼ねており、雇用者である請求人は従業員に保険死亡事故が生じた場合に死亡保険金の50%以上の金額を遺族補償として支払う旨を保証したものと認められると同時に、遺族に対して具体的な給付をすべき原因となる事実が生じていること、さらに被保険者の遺族は同意書に基づき死亡保険金の50%以上を請求する権利を有していると推認できることなどを理由に挙げ、死亡保険金を受け取った事業年度において保険金の50%相当額は損金に算入されるべきであると判断、原処分を一部取り消す裁決を下している。

(国税不服審判所、2008.05.30裁決)