控訴審も海洋掘削の作業の用に供するリグを船舶と認定、棄却
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:10/28/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 海洋掘削等の事業を行う内国法人が貸主の外国法人に支払った海洋掘削作業の用に供する構造物(いわゆるリグ)の賃借料が国内源泉所得である船舶の賃借に伴う対価であるか否かの判断が争われた事件で、東京高裁(園尾隆司裁判長)はリグが船舶に含まれるとみても格別不自然とは言い難いと判示して一審判決を支持、控訴を棄却する判決を言い渡した。

 この事件は、石油・天然ガスの探鉱・開発に係る海洋掘削等の事業を営む国内法人が、外国法人から海洋掘削の作業の用に供する構造物(リグ)を賃借し、賃借料を支払った際に国内源泉所得として所得税の源泉徴収をしなかったことが発端。そのため原処分庁が、源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしてきたわけだ。そこで法人側が、その取消しを求めて提訴したところ、一審の東京地裁が訴えを棄却したため、法人側が控訴、更にその取消しを求めて判断が争われてきたという事案である。

 しかし控訴審も、所得税法上の外国法人が内国法人にした特定の物の貸付けが船舶の貸付けに当たるか否かは、物の貸付けに関係する各般の事情を社会通念に照らして検討して決めるほかないと指摘したで、外国法人から貸付けを受けたリグは、水上に浮揚しての移動及び積載に係るものであると認定。

 その認定をもとに、1)自力で水上を航行しないサルベージ船、工作船、起重機船が船舶として取り扱われていること、2)建設機械抵当法の適用に関してはリグが船舶として取り扱われていること、さらに3)船舶安全法及び船舶法の適用に関してもリグが日本船舶として取り扱われていた認められることを理由に挙げて、リグを船舶とみることが格別不自然であるとは言い難いと判示した。

 結局、原審の東京地裁の判決を支持、国内源泉所得と定める船舶の貸付けによる対価に該当し、所得税の納税告知処分、不納付加算税の賦課決定処分は適法と判示して、法人側の控訴を棄却する判決を言い渡している。

(2014.04.24東京高裁判決、平成25年(行コ)第360号)