所得税調査、1割の実地調査で申告漏れ所得の6割を把握
カテゴリ:02.所得税, 03.消費税, 12.国税庁関係 トピック
作成日:10/31/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁が10月28日に発表した平成27事務年度(27/7~28/6)の所得税及び消費税調査等の状況によると、同事務年度の個人に対する所得税調査は、前年度比12.2%減の65万件行われ、うち約61%に当たる39万6千件から同1.5%増の8785億円の申告漏れ所得を見つけた。その追徴税額は同6.5%増の1074億円で、1件平均135万円の申告漏れに対し17万円を追徴している。

 実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は4万8千件実施し、うち約88%に当たる4万2千件から総額4522億円の申告漏れ所得を見つけ、746億円を追徴した。件数では全体の7.4%に過ぎないが、申告漏れ所得金額全体の51.2%を占めた。調査1件あたりの申告漏れは941万円と、全体の平均135万円を大きく上回る。

 また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は1万8千件行われ、うち1万3千件から722億円の申告漏れを見つけ、52億円を追徴した。1件あたり平均申告漏れは402万円。一方、簡易な接触は58万4千件行われ、うち34万1千件から3542億円の申告漏れを見つけ、277億円を追徴。1件あたりの平均申告漏れは61万円だった。

 実地調査トータルでは6万6千件の調査を行い、うち5万5千件から5243億円の申告漏れを見つけ、798億円を追徴している。つまり、実地調査件数は全体の10.2%と1割に過ぎないが、申告漏れ所得全体の6割(59.7%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されていることがうかがえる。

 業種別1件あたりの申告漏れ所得高額業種は、「キャバレー」(2628万円)、「風俗業」(2326万円)、「畜産農業(肉用牛)」(1471万円)までがワースト3。「キャバレー」と「風俗業」はここ5年連続で1位か2位となっており、「畜産農業(肉用牛)」は前年のランク外から3位となった。

 なお、課税事業者又は課税事業者と認められる者を対象にした所得税との同時調査や無申告者に対する単独での消費税調査では、8万8千件(前年度8万6千件)に調査を実施して6万1千件(同5万9千件)から非違を把握し、その追徴税額は加算税を含め271億円(同232億円)だった。

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