ゴルフ場の事業譲渡後にされた会員権の譲渡は資産の譲渡に該当
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:07/02/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 ゴルフ場の事業譲渡後に行われた旧ゴルフ場経営会社の会員権の譲渡が資産の譲渡に該当するか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は新・旧ゴルフ場経営会社間の取決めによって譲渡までの間、旧ゴルフ会員権のプレー権が維持されていたことなどを理由に、譲渡所得の起因となる資産の譲渡に該当すると判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は、審査請求人がゴルフ会員権の譲渡の結果、譲渡損失が生じた旨の確定申告をしたところ、原処分庁が資産の譲渡には該当しないと否認、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求されたもの。

 原処分庁側は、旧ゴルフ場運営会社から新運営会社への事業譲渡によってプレー権が消滅し、旧会員権を有する会員には暫定的プレー権が付与されたものと判断。その判断の下、事業譲渡後の旧ゴルフ場の会員権は暫定的プレー権のみを内容とするものであるから会員権の譲渡は資産の譲渡には該当しないと主張して、審査請求の棄却を求めた。

 これに対して裁決はまず、事業譲渡の際に1)新会員権の地位を希望する者には旧会員権を会員権管理会社に取得させる代わりに新会員権を付与し、2)新会員権の取得を希望しない旧会員には旧会員権の取得や新会員権の付与の手続きが完了するまで、新ゴルフ場の優先的施設利用を認める契約内容になっていたと認定した。

 その結果、事業譲渡の際に新会員権の取得を希望する旧会員から会員権管理会社に譲渡されたのはプレー権及び預託金返還請求権つまり旧会員権そのものであり、旧会員権の譲渡時にプレー権の存在が前提にされていたといわざるを得ないと判断した。結局、請求人は新会員権を取得する代わりに旧運営会社のプレー権を含む契約上の地位としての旧会員権を会員権管理会社に譲渡したのであるから譲渡所得の基因となる資産の譲渡に該当すると判断、原処分を全部取り消した。

(国税不服審判所、平成24年8月2日裁決)