注目の養老保険裁判いよいよ最終決着
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:01/11/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 生保節税のグレーゾーンをめぐる注目裁判がいよいよ決着する。

 生命保険金を一時所得として受け取った場合に必要経費として控除できる支払保険料の範囲をめぐっては、納税者と税務署の判断が真っ向から対立し、税務署を相手取った裁判が相次いだ。しかし、争点を同じくする2つの事件について高裁で判断が分かれたため、最高裁での決着が待たれているところだが、その注目の最高裁判決がいよいよこの1月に下される。

 問題となっているのは、養老保険の「全額損金プラン」に基づいて受け取った満期保険金の税務。いわゆる「ハーフタックスプラン」(法人税法基本通達9-3-4(3))の逆パターンで、会社を契約者および死亡保険金受取人、役員や従業員を被保険者および満期保険金受取人とする保険契約のこと。会社が負担した死亡保険金に対応する保険料は定期保険と同様に支払保険料として損金扱い、満期保険金に対応する保険料は被保険者への給与としてやはり会社の損金扱いとなる。

 この保険契約に基づいて被保険者が受け取る満期保険金は一時所得扱いとなるが、一時所得の計算上、保険料の総額を必要経費に含めて計算した納税者に対し、税務署は「給与課税されていない部分は認められない」として否認。これを不服とした納税者が相次いで裁判を起こした。

 所得税法34条2項では、一時所得の計算に際して「その収入を得るために支出した金額」を経費として引くことができる旨を定めている。そして所得税法施行令183条2項2号では、生命保険契約に基づく一時金の一時所得の計算上、保険料の総額を控除できる旨を規定。ここでいう「保険料の総額」について所得税法基本通達34-4では、「その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者以外の者が負担した保険料も含まれる」としている。裁判はこれらの関係法令の解釈合戦となった。

 一審ではいずれも納税者が勝訴したが、二審に入って判断が分かれ、昨年12月に最高裁が口頭弁論を開催したことで国側有利に展開するのではとの見方も強まっている。どちらに転んでも一般消費者に大きな影響を与えるとあって強い関心が寄せられている養老保険裁判。注目の最高裁判決は1月13日と16日に予定されている。