取得時に非居住者だったと認定、住宅ローン控除の適用を否定
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:02/12/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 いわゆる住宅ローン控除制度の適用をめぐり、適用要件の一つである「居住者による居住用家屋の新築、取得又は増改築等」を満たすか否かの判断が争われた事件で横浜地裁(佐村浩之裁判長)は、住宅の所有権が帰属した日つまり物件の所有権保存登記時に非居住者であったと認定した上で、住宅ローン控除制度の適用は認められないと判示、棄却した。
 
 この事件は、住宅の新規取得者が住宅ローン控除を適用して確定申告したところ、原処分庁が取得時期において非居住者であったことを理由に適用を否認、更正処分等をしてきたため、納税者がその取消しを求めて提訴したもの。

 つまり、居住者が「国内で居住用家屋につき一定の要件の下で新築、取得又は増改築したこと」の要件を満たしているか否かが争点になったもので、特に「取得」の意義が問題になったが、納税者側は売買契約締結時に物件を取得して居住者だったのであるから、適用要件は満たしていると主張して提訴、原処分の取消しを求めたという事案である。

 判決は、まず売買契約の締結時点では居住者であったものの、物件の所有権保存登記時には海外に赴任していたのであるから非居住者であったと認定。その上で、取得の意義に触れ、同控除制度における取得の日とは、6ヵ月以内に居住の用に供することを強いることが不合理でないと認められる日、すなわち家屋が住宅としての機能を有する状態となった上、同控除の適用を求める者に所有権が帰属した日と解することが住宅ローン控除制度の趣旨にかなったものといえるという解釈をした。

 しかし、納税者の主張のように解釈すると、売買の予約でも足りるのかという疑問が生ずることになり、控除の適用範囲が不明確になるとも指摘。結局、物件の所有権保存登記がされた日に取得したというべきであり、その時点においては非居住者だったのであるから税額控除の適用は認められないと判示して納税者の請求を棄却している。

(2013.10.30地裁判決、平成25年(行ウ)第5号)