従業員等への食事の供与は使用者が購入して支給する食事と判断
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:03/03/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 使用人等に対する食事の供与が「使用者が調理して支給する食事」又は「使用者が購入して支給する食事」のいずれで評価すべきかの判断が争われた事件で国税不服審判所は、使用者が購入して支給する食事として評価するのが相当と判断、審査請求を斥けた。

 この事件は、審査請求人が従業員等に支給した食事を、原処分庁が所得税基本通達36-38(2)が定める「使用者が購入して支給する食事」に該当するから経済的利益があると判断、源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしてきたため、請求人側が同通達(1)の「使用者が調理して支給する食事」として評価すべきであり、経済的利益はないと反論、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 これに対して裁決は、食事の材料は受託業者が調達しており、自己の計算に基づき材料の調達及び管理を行っていたのは受託業者であるという判断から、請求人が材料を提供して食事の調理のみを委託していたとみることはできないと認定。また、請求人が従業員等から徴収した食券代金は、あらかじめ受託業者との間で定めた材料費相当額に基づき計算されていたものの、食事の材料費そのものとはいえないとも指摘した。

 結局、請求人は食券代金を従業員等の給与から差し引いて預り金として経理し、受託業者に支払う際には預り金勘定から減額処理をしていたことからすれば、従業員等から直接受領すべき食事代金を受託業者に代わって徴収していたと認められ、受託業者に毎月一定額の給食業務委託料及び副食費を支払っていた事実から、請求人は従業員等が受託業者から食事を安価で購入できるよう、給食業務委託料等を負担し、食事の購入代金の補助をしていたとみるのが相当であり、使用者が購入して支給する食事と同様に、食券代金、副食費及び給食業務委託料の合計額をもって評価するのが相当であると判断、請求人側の主張を斥けた。ただ、原処分庁側の経済的利益及び源泉所得税額の算定に一部誤りがあったため、結果的に一部取消しの裁決となった。

(国税不服審判所、2014.05.13裁決)