弁護士会の活動費用や弁政連の会費の必要経費費入を否認
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:08/31/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 弁護士会の役員活動費用等と弁政連関連の会費が事業所得の計算上、必要経費に参入することが妥当か否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は弁護士業務に直接関連を有する業務遂行上通常必要な支出とは認められないと判断する一方、記念品や挨拶状は弁護士業務の広告宣伝を目的するものであるからその費用等は必要経費に当たると判断、原処分を一部取り消す裁決を下した。

 この事案は、弁護士である審査請求人が事業所得の計算上、つまり弁護士会の活動費用や弁政連の会費を必要経費として申告したものを原処分庁が否認、所得税・消費税・地方消費税の更正処分等をしてきたため、その取消しを求めて審査請求されたもの。つまり弁護士側は、会務は弁護士会等に所属が義務づけられて行うもので、弁護士活動と弁護士会等の活動は経済実態的にはすべてが一体不可分のものであり、弁護士法上の直接的な義務、理念を体現するものであると主張して、原処分の全部取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、弁護士会等の役員となることを弁護士法が義務づけていないと指摘した上で、役員等としての活動の結果、事務の改善進歩が図られたとしても、それは弁護士等全体の利益であり、弁護士個人の活動に寄与することはあってもあくまで間接的なものであるから、業務遂行上、必要な支出とは認められないと判断。また、弁政連関連の会費等についても弁護士業務に直接の関連を有し、業務遂行上、必要な支出とは認められないと判断。しかし、記念品の作成費用や挨拶状は弁護士業務の広告宣伝を目的としたものであると指摘して弁護士の主張を受け入れ、結果的に一部取消しの裁決内容となった。

(仙台国税不服審判所、2009.03.24裁決)