贈与された債権の償還額のうち元本利息相当額は課税所得
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:11/06/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 贈与を受けた債券の償還額のうち元本に対する利息部分は非課税所得か否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、利息相当分の金員は元本に対する利息であり運用益に相当する性格のものであるから非課税所得には該当しないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人が父から贈与された外国法人が発行する債券に係る第1回目の償還額のうち、償還予定表において利息相当額部分とされる金員を雑所得として確定申告する一方で、債券に係る利息相当額の一部は所得税法上の非課税所得に該当すると考え更正の請求をしたのが発端。しかし原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その全部の取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり、債券の償還額のうち利息相当額とされる部分に係る贈与税及び所得税の課税関係が、年金受給権に対して相続税と所得税の二重課税になる旨の判断を下した最高裁判決(平成22年7月6日第三小法廷判決)の射程に含まれるものであるか否かがポイントになったわけだ。

 これに対して裁決は、最高裁判決における年金受給権とある期間定期的に金銭の給付を受けるという形態は類似するものの、年金受給権は相続税法24条の「定期金給付契約に関する権利」に該当するものであるものの、債券は「社債」に該当し「定期金給付契約に関する権利」に該当しないと解釈。その上で、債券の償還額は元本部分と利息(運用益)部分とが約定において明確に区分されているから、その権利の性質・内容が明らかに異なると指摘した。

 結局、債券は第1回目の償還日から最終回の償還日まで元本の償還額及び利息額等があらかじめ元利均等償還となるように組成され、発行時に償還予定表によってそれらの金額が明示された金融商品であり、その金員は債券(元本)に対する利息かつ運用益に相当するものであることから非課税所得には該当しない判断して、棄却している。

(国税不服審判所、2012.12.03裁決)