課税処分の取消訴訟に要した費用等の必要経費算入を否定
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:11/10/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 還付加算金に係る雑所得の金額の計算上、課税処分の取消訴訟に要した費用等が必要経費に該当するか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は還付加算金を得るための行為は業務とはいえず、所得を生ずべき業務について生じた費用ともいえないから必要経費に算入することはできないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が課税処分の取消訴訟に要した費用等が、判決の確定に伴い受領した還付加算金を得るために直接要した費用であるから、雑所得の金額の計算上、必要経費に該当すると考え更正の請求を求めたところ、原処分庁が必要経費の算入を否認、更正処分をしてきたため、請求人がその取消しを求めていたもの。

 請求人は、各還付加算金は不当利得に対する損害賠償金的性格を有し、各過納金と一体不可分のものであること、また訴訟費用及び借入金利息等が投下資本に該当することは明らかであり、原資の維持に必要な部分として所得を構成しないことから必要経費に算入できると主張していた。

 これに対して裁決は、課税処分の取消訴訟は各還付加算金を得るために提起されたものではなく、訴訟の結果として各還付加算金が発生したにすぎないと指摘。その結果、各還付加算金と各過納金は一体不可分のものとはいえず、過納金の発生原因にかかわらず支払われる過納金に付される一種の利子であることから、損害賠償の性格は有していないとも指摘した。さらに、還付加算金を得るための行為は請求人にとって業務とはいえず、所得を生ずべき業務について生じた費用ともいえないから、訴訟費用等は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないと判断、審査請求を棄却した。

(国税不服審判所、2008.12.09裁決)