手続要件を充足していないと認定、外国税額控除の適用を否認
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:07/22/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 外国税額控除の適用を受ける際に所得税法上の手続要件を充足しているか否かの判断が争われた事件で、東京地裁(谷口豊裁判長)は前年分の申告書に外国税額控除に関する明細書が添付されておらず、外国税額控除の控除限度額及び納付すべき外国所得税額も記載していなかったことを理由に適用は認められないと判断、納税者側の取消請求を斥けた。

 この事件は、確定申告の際、前々年分の外国税額控除の控除限度額を繰越使用して外国税額を控除して申告したところ、原処分庁が前年分の確定申告書に控除金額の記載、繰越控除限度額や繰越外国所得税額の計算に係る明細書等の添付がなかったため、手続要件の不備を理由に外国税額控除の適用を否認して更正処分等をしてきたため、納税者側がその取消しを求めて提訴したという事案。

 所得税法95条6項が定める外国税額控除の手続要件を充足しているか否かが争点となった事案で、納税者側は外国税額控除に係る繰越控除限度額は国税の控除余裕額の合計額を意味するから、繰越控除額に係る年は各年ではなく、国税の控除余裕額が発生した年と文理解釈すべきと主張して、原処分の取消しを求めたわけだ。

 これに対して判決は、外国税額控除に係る手続要件は税額計算の安定性を確保し、租税法律関係の明確化を図るものと解釈して、原処分庁の主張を支持。その上で、控除余裕額の繰越使用により所得税額から控除し得る額は、これを受けようとする年の前3年以内の各年の控除限度額及び各年に納付すべき外国所得税額に基づいて計算されるものであり、繰越控除限度額に係る年のうち最も古い年以後の各年について、外国税額控除が適用されたか否かにかかわらず、その年の控除限度額や納付すべき外国所得税額は、控除余裕額の繰越使用により所得税額から控除し得る額の計算に影響するとも指摘した。結局、納税者が主張するような解釈は文理上困難と判示して、棄却している。

(2013.11.19東京地裁判決、平成24年(行ウ)第726号)