FX取引に係る所得は雑所得、他の所得との損益通算は不可と判示
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:10/15/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 いわゆるFX取引による所得が雑所得に該当するのか事業所得に該当するのかの判断が争われた事件で横浜地裁(佐竹浩之裁判長)は、FX取引は社会通念上事業といわれるものとは異質であり、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる事業の遂行とも認めがたいため雑所得に該当すると判示するとともに、給与所得との損益通算も認められないと判示して請求を棄却している。

 この事件は、納税者が給与所得に係る確定申告をした後、外国為替証拠金取引いわゆるFX取引に係る所得が事業所得に該当するため、その損失を給与所得の金額から控除つまり損益通算できると考え更正の請求をしたところ、原処分庁が損益通算を否認してきたことから、その取消しを求めて提訴したという事案。つまり、FX取引に係る所得は損益通算が可能な事業所得に該当するのか、損益通算が認められない雑所得に該当するのか否かが争点になった事案である。
 
 納税者側は、FX取引は投機ではなく投資であり、相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性が認められないとまではいえないことから事業所得に該当すると主張して、原処分の取消しを求めた。

 これに対して判決は、事業所得と雑所得の性格に触れた上で、事業所得を生じさせる「対価を得て継続的に行う事業」は自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性・有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務を遂行するものであると解釈。その解釈の下に納税者のFX取引の事実関係を調査、その損益は基本的に偶然の要因によって左右されるものであると認定した。

 そうした事実認定から、FX取引は社会通念上事業と言われるものとは異質であり、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務の遂行とも認め難いと指摘、事業所得ではなく雑所得に該当するという判断をした。結局、雑所得に該当するのであれば給与所得との損益通算は認められないという判断から、納税者側の主張を棄却したわけだ。

(横浜地裁平成25年7月3日判決、平成24年(行ウ)第36号)