取得日が明らかでないと指摘、住宅借入金等特別控除の適用を否定
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:11/04/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 確定申告書への必要書類の添付がない場合でも、住宅借入金等特別控除の適用が認められるか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は審査請求人が提出した各書類のいずれによっても、居住用家屋を取得した日が明らかではないことを理由に、同特例を適用することは認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、給与所得者である請求人が、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(措法41(1))を適用して源泉徴収に係る所得税額の還付を求めて確定申告したところ、原処分庁が財務省令が定める書類の添付がないことを理由に同特例の適用を否認、更正処分等の上、請求人の申告に伴う還付金を更正処分等に係る納付すべき税額に充当処分したことから、財務省令が定める書類を添付しており、更正処分等によって還付金は消滅し充当できない状態に至っているなどと主張して、原処分の全部取消しを求めたという事案である。

 請求人は、住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の添付書類等(措規18の21(9))の規定は登記事実の証明を求めていないから、確定申告書に住民票、売買契約書、登記申請手続の依頼書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書等を添付していれば、住宅借入金等特別控除を適用すべきであると主張した。

 これに対して裁決は、同特例が定める居住用家屋の取得日は、現実に居住の用に供することが可能となったと認められる日つまり家屋の支配が移転したときを指し、例えば家屋の所有権を有することを前提に、家屋の引渡しないし所有権移転登記をした日がこれに該当すると解釈。しかし、請求人が提出した各書類のいずれによっても、物件の取得日が明らかではないため、同特例の適用はできないと判断、審査請求を斥けた。

 住宅借入金等特別控除制度の適用を受ける際には、確定申告書に適用金額記載と書類添付をすることが手続上の要件として法定されており、その書類添付がない場合は実体法上の適用要件を満たすかどうかに関わらず、適用は認められないという判断をしたわけだ。

(国税不服審判所、2014.01.28裁決)