画像診断ワークステーションは特定機械装置等には非該当
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:07/29/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 患者の診療等に利用する画像診断ワークステーションが、中小企業者が機械等を取得した場合に特別償却や税額控除の対象となる特定機械装置等に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、病院等で診療等に供される医療用電子機器は事務処理の能率化等に資する性格のものではないことから該当しないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、診療等の用に供した画像診断ワークステーションが租税特別措置法10条の3(中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除)1項が定める「特定機械装置等」に該当し、所得税額の特別控除の適用が認められると判断して申告したのが発端。しかし原処分庁が特別控除を否認、所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求されたという事案である。

 請求人側は、耐用年数省令は減価償却資産の耐用年数や償却方法を定めるもので、資産の属性を定めるものではなく、租税特別措置法施行規則5条の8に定める「電子計算機」に該当し、租税特別措置法10条の3と12条の2(医療用機器等の特別償却)を満たす資産になると判断。また、10条の3には12条の2の適用資産を除く旨の規定がなく、両方に適用可能な資産がある場合は12条の2を優先する旨の規定もないことから、10条の3が規定する所得税額の特別控除を適用できると主張して、原処分の取消しを求めたわけだ。

 しかし裁決は、租税特別措置法10条の3の趣旨や制定経緯等を踏まえると、同条が対象とする工具、器具及び備品を「事務処理の能率化等に資するもの」と財務省令が定めたのは、中小企業における不特定の事務の用に供し、事務処理の能率化等に資する電子計算機等について特別償却若しくは税額控除の対象とする趣旨であると解釈。その解釈に沿って、病院等において診療等の用に供する医療用電子機器は事務処理の能率化等に資するものではないから、特定機械装置等には該当しないと指摘して、画像診断ワークステーションに対する所得税額の特別控除の適用は認められないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2013.11.27裁決)