被相続人の控除対象配偶者控除の計算期間は通年で対応
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:12/28/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 年の中途で死亡した者の控除対象配偶者になるか否かの判断が争われてきた事案で、国税不服審判所は、死亡時の現況によって見積もられるその年分の配偶者の合計所得金額によって判定すべきであると判断、更正処分の取消請求を棄却した。

 この事案は、居住者の相続人が年の中途で死亡した居住者(被相続人)の所得税の確定申告の際に、配偶者控除を適用して申告したことが発端になったもの。しかし原処分庁が、居住者の配偶者だった請求人の合計所得金額が38万円を超えていることを理由に否認、更正処分等をしてきたため、請求人がその取消しを求めて審査請求していた事案だ。

 つまり、被相続人の配偶者が控除対象配偶者に該当するかどうかの判定における合計所得金額の計算期間はその年の1月1日から被相続人の死亡時までか、それとも12月31日までの通年分か否かが争点になっていた事案だ。

 請求人側は、年の中途で死亡した被相続人の控除対象配偶者に該当するか否かは、所得税法85条3項が死亡時の現況による旨規定していることを根拠に、被相続人が相続開始時まで配偶者を扶養していたか否かによって判断されると主張していた。

 しかし裁決は、合計所得金額を構成する所得税法23条から35条までの各種所得金額はいずれもその年中、つまり1月1日から12月31日までの収入金額又は総収入金額を基礎に計算されることから、それらの合計所得金額についても1月1日から12月31日までの期間で計算されることになると指摘。結局それは、配偶者控除を受けようとする居住者が年中に死亡していたかどうかで異なるものでもないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.12.07裁決)