住宅借入金等特別控除の適用に偽りその他不正の行為を認定
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:09/13/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 居住の事実がない住宅の所在地を申告書に記載、住宅借入金等特別控除を適用して行った申告に偽りその他不正の行為があるか否かの認定が争われた事件で国税不服審判所は、住民票上の住所の記載を居住の事実がない住宅の所在地とするべく住民票の異動を繰り返していた行為に偽りその他不正の行為があったと認定、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人が平成13年分から18年分の確定申告の際に住宅借入金等特別控除を適用するとともに、19年分の確定申告の際には居住用住宅の譲渡損失が生じたとして損益通算の特例を適用して申告したところ、原処分庁が居住の実態がないにもかかわらず住宅の所在地に住民票上の住所を異動して申告したものであり、いずれの場合も特例の適用は不可と否認した上、措置法上の特例の適用要件事実に仮装の行為があったと認定、重加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端となったもの。

 そこで請求人が、1)住民票異動時には取得した住宅に居住するつもりであったこと、2)確定申告時の税務相談の際に住宅借入金等特別控除の適用ができる旨告げられたことを受けて申告したという事情からも、住民票上の住所を異動させた行為等は偽りその他不正の行為には該当しないと主張、原処分の全部取消しを求めて審査請求していたという事案である。

 しかし裁決は、自己の居住の用に供していないため住宅借入金等特別控除の適用を受けられないにもかかわらず、同控除の適用を意図して、住宅の所在地に居住しているように装うため、住民票上の住所の記載を住宅所在地とするべく住民票上の異動を繰り返し、その住宅所在地を申告書に記載して同控除の適用を受けたのであり、それには同控除制度の要件の一つである「自己の居住の用に供した」事実について虚偽の外形を作出する等の偽りその他不正の行為が認められると指摘、請求人の主張を斥けている。

(国税不服審判所、2010.07.01裁決)