税理士が妻に支払った青色事業専従者給与は著しく高額と判断
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:03/04/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 税理士が青色事業専従者の妻に支払った青色事業専従者給与の額が適正な額か否かの判断が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は、妻と使用人との労務提供の程度の差違を前提に検討すると著しく高額であり、適正給与相当額を上回る部分の金額は事業所得の計算上必要経費に算入することはできないと判断して、審査請求を棄却した。

 この事件は、税理士である審査請求人がした所得税の申告に対して、原処分庁が事業所得の計算上、妻への青色事業専従者給与のうち労務の対価として相当額を超える部分は必要経費に算入することができないとして更正処分等をしてきたため、税理士が原処分庁の認定には誤りがあると主張、その全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり税理士側は、青色事業専従者の妻に支払った給与の金額は労務の性質及びその提供の程度からすれば、その全額が労務の対価として相当額つまり適正給与相当額であると認められるべきである旨主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、青色事業専従者給与が適正給与相当額として認められるためには、1)労務従事の期間、労務の性質及び提供の程度、2)事業に従事する他の使用人が支払いを受ける給与の状況及び同種の事業で規模が類似するものに従事する者が支払いを受ける給与の状況、3)事業の種類及び規模並びに収益の状況――の3要素を総合勘案して、青色事業専従者の労務の対価として相当であると客観的に認識できるものでなければならない、と指摘した。

 その上で、審判所の調査によれば、妻の労務の性質は税理士の事業に従事する各使用人の労務の質と大きく異なるものではなく、労務提供の程度も各使用人の労務提供の程度と従事時間に現れる程度の差異があるだけと認定。結局、青色事業専従者給与の適正給与相当額を上回る部分の金額は、事業所得の金額の計算上、必要経費算入は認められないと判断、審査請求を棄却した。

(2013.05.29 国税不服審判所裁決)