3年以上の不動産所得の補償(臨時所得)と認定、全部取消し
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:10/25/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 建物の賃貸借契約の終了に伴う債務免除益が3年以上の期間を補償するものとして臨時所得に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、3年以上の期間の不動産所得の補償をするものであるから臨時所得に当たると判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は、不動産貸付業を営む審査請求人が、建物の賃貸借契約の終了に伴う債務免除益は3年以上の期間の不動産所得の補償であるから臨時所得に該当すると判断、変動所得及び臨時所得の平均課税の規定(所法90)を適用して確定申告をしたところ、原処分庁が臨時所得に該当しないとして申告内容を否認、所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、各処分を不服とした請求人がその全部取消しを求めたもの。

 つまり原処分庁側は、債務免除によって補償されたのは請求人らが受領する年間賃貸料であるから、債務免除益は3年以上の期間の不動産所得の補償には当たらないという判断から否認してきたわけだ。

 これに対して裁決は、補償の期間が契約等で示されていない場合などに臨時所得となる3年以上の期間の補償に該当するか否かは、補償に至った諸事情等から総合的に判断して補償に係る金額の算定の基礎となる内容や金額に基づいて判定するのが相当と解釈。その上で、賃貸借契約の終了に伴って賃貸人たる地位を承継し、賃貸借契約終了前の賃借人(転貸人)に代わって賃貸住宅の入居者から賃貸料収入を得ることができた請求人らに係る1年当たりの減収額は、請求人らの所有する住宅の賃借料と転貸人が入居者から受領していた賃貸料から転貸人が負担していた修繕費を控除した額との差額とするのが相当と指摘、結局、債務免除に係る補償の期間は3年以上の期間の不動産所得の補償に該当すると判断して原処分を全部取り消している。

(国税不服審判所、2011.02.02裁決)