コンサルタント料等の譲渡費用等への算入を否認
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:02/17/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 土地の譲渡の際に支払ったコンサルタント料等が譲渡費用に当たるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、譲渡先選定に関する法人の助言によって、土地の譲渡先が決定されたものではないことなどを理由に、譲渡を実現するために必要な費用とは認められないと判断して、審査請求を斥けた。

 この事件は、審査請求人らが土地の譲渡の際に支払った金員の一部がコンサルタント料として譲渡費用に該当すると判断してした確定申告の内容を原処分庁が否認、更正処分等をしてきたため、その取消しを求めて審査請求したもの。

 つまり請求人らは、親族が主宰する不動産仲介業等を営む法人にコンサルタント料として支払った金員は、その法人が1)土地の取得に反対していた親族の説得、2)土地を譲渡するために取り壊した建物の長期にわたる改良行為、3)トラブルが予想される賃借人への対応、4)土地の譲渡先選定に関する助言等の諸行為をしたことに対する対価であったことを理由に挙げて、取得費及び譲渡費用に該当する旨主張したわけだ。

 しかし裁決は、譲渡費用に該当するか否かは現実に行われた資産の譲渡を前提に、客観的にみて譲渡を実現するために必要な費用かどうかで判断すべきであると解釈した上で、土地の取得のための親族への説得行為はその取得自体に必要だったとはいえず、取得のための付随費用ともいえないから取得費には該当しないと認定。

 また、法人が行ったとする建物に係る各種の改良行為は一般の修善又は維持管理行為と認められ、賃借人への各種対応も土地を譲渡した6年以上も前のことであること、さらに譲渡先選定に関する法人の助言によって土地の譲渡先が決定されたものではないことなどの事実関係を認定、請求人側の主張を悉く斥けている。

(2014.06.04国税不服審判所裁決)