被相続人に係る未収リース料相当額の貸倒れを認定、一部取消し
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:01/21/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 この事件は、審査請求人らの亡父(被相続人)に係る個人事業の遂行上生じた貸付金等が貸倒れになったとして、貸付金等に係る残元金相当額を貸倒損失等として亡父の事業所得の金額の計算上必要経費に算入して申告したのが発端。
 
 ところが原処分庁が、貸付金等は亡父の事業の遂行上生じたものではないことを理由に残元金相当額の貸倒損失等としての必要経費算入を否認、亡父の納税義務を承継した請求人ら(相続人)に所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ってきたため、請求人らが、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。つまり争点は、亡父による貸付金等が事業の遂行上生じたものに該当するか否かにあったわけだ。

 しかし原処分庁は、未収リース料相当額の債権も亡父の事業の遂行上付随して生じたものとは認められないから、その債権に係る貸倒損失の額も事業所得の金額の計算上必要経費には算入できず、雑所得の金額の計算上の必要経費に算入される金額であると主張して、審査請求の棄却を求めた。

 これに対して裁決は、リース契約は取引先の事業に対する支援の一環で行われたものであり、亡父の設備・装置等の販売・設置やリース等に係る業務が営利性、有償性を有し、反復継続して遂行する意思と社会的地位も客観的に認められると認定。そうした事実認定から、未収リース料相当額の債権に係る所得が事業所得に該当し、未収リース相当額の債権が貸倒れになったと認められるべきであるから、未収リース料相当額の債権の全額が相手先に引き渡された日の属する年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入されるという判断をした。

 しかし貸付金については、亡父の事業の遂行に付随して生じた取引先に対する貸付金であるとは認めることができないと指摘。その結果、審判所認定額がいずれも原処分庁認定額を下回ったことから、結局、一部取消しという裁決内容になった。

(国税不服審判所、2013.03.19裁決)