2区分建物を一の家屋とみることはできないと判断して棄却
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:12/07/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 1棟建てマンションで取得した2区分建物に買換特例を適用して申告した事案をめぐって、2区分建物を一体の家屋と見なして同制度の適用が認められるか否かの判断が争われた控訴審で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は一審と同様に、2区分建物が一の家屋としての機能を果たしているとはいえないと判断して、控訴を棄却した。

 この事件は、自宅として居住していた所有土地建物を売却して1棟のマンションの中にある2つの区分建物を取得した納税者が、2つの区分建物が一体として機能しているため買換特例制度の適用が受けられると判断して確定申告したことが発端。しかし、原処分庁は同制度の適用を受けられるのは一方の区分建物だけで、他方の区分建物には認められないと判断、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者がその取消しを求めて提訴、一審敗訴後、控訴して更にその取消しを求めていたという事案だ。

 納税者は、高齢者のため介護保険制度の要支援2の認定を受け、他方のマンションに住む長女夫婦と一緒に生活して支援を受けるなど一の世帯として生活しなければならない事情にあり、両区分建物は一体として一つの部屋として使用されている事情があることから一体の家屋として買換資産に該当すると主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 一審の東京地裁は、区分建物の客観的状況、使用状況から見て、原告と長女夫婦との間に相互に往来があるとしても、その一事をもって殊更に両室を一体として評価しなければならない事情があるともいえず、一の家屋とみることはできないと判断して納税者の訴えを斥けたわけだが、控訴審も一審の判決内容を支持、両室を併せてはじめて一の家屋としての機能を果たしているとまでは認定できないと判断して、棄却している。

(2010.04.21 東京高裁判決、平成21年(行コ)第285号)