内縁の夫は控除対象配偶者には該当しないと審査請求を棄却
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:01/13/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 事実上の婚姻関係にあるものの婚姻の届出をしていない、いわゆる事実婚状態の内縁の夫を控除対象配偶者として配偶者控除が適用できるか否かの解釈が争われた事案で国税不服審判所は、請求人、内縁の夫いずれの戸籍にも婚姻の記録がないことから民法上の配偶者であったとは認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が所得税の申告の際に、事実上の婚姻関係にあるものの婚姻の届出はしていない者を控除対象配偶者として配偶者控除を適用して申告したところ、原処分庁が配偶者控除の適用を否定して更正処分等をしてきたため、課税処分の取消しを求めたもの。

 請求人は、1)10年以上内縁の夫と同居して生計を一にしている、2)請求人が加入している健康保険組合でも内縁の夫が扶養配偶者と認定されている、3)遺族年金が内縁の配偶者にも支給されるなどを理由に、配偶者控除を認めるべきであると主張していた。

 これに対して裁決は、所得税法83条1項が配偶者の定義規定を置いていないものの、身分関係の基本法は民法であるから、所得税法上の配偶者も民法の規定に従って解釈するのが相当であると指摘。そうであれば、所得税法上の配偶者の意義も、民法上使用されている配偶者の意義と同様に、戸籍法の定めるところによって、市区町村長等に届出をした夫又は妻を指し、内縁の夫はこれには含まれないことになる。その結果、内縁の夫は請求人の所得税法上の配偶者には該当しないから、控除対象配偶者には該当せず、配偶者控除を適用することはできないと判断して審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.04.03裁決)