税理士の妻への専従者給与は労務の対価として不相当と裁決
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:02/09/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 税理士が妻に支払った青色専従者給与の額が、青色事業専従者に対する労務の対価として相当な額であるか否かの判断が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は、青色専従者としての妻の労務の性質、労務の提供の程度が他の使用人に比べて大きく異なるものではないと認定した上で、適正給与額を上回る部分の金額は労務の対価として相当ではないと判断して必要経費算入を否認、税理士が求めていた原処分の取消請求を棄却した。

 この事案は、税理士業を営む審査請求人が青色事業専従者としている妻に支払った給与の額を、事業所得の計算上、必要経費に算入して申告したところ、原処分庁が労務の対価として相当と認められる金額を超える部分の必要経費算入を否認、更正処分等をしてきたため、税理士がその取消しを求めて審査請求していたという事案だ。税理士は当然のごとく、妻の青色事業専従者としての労務の性質、提供の程度から給与の額は労務の対価として適正額であると主張して原処分の取消しを求めていた。

 しかし、これに対して裁決は、妻の労務の内容が税理士事務所の他の使用人と比べて大きく異なるものではなく、労務の程度も業務時間が最も長い他の使用人の約1.21倍程度と事実認定。つまり、事業に従事した時間が最も長い使用人に支払われた給与額に基づいて算定した金額が税理士の妻に支払うべき適正な給与額になるという判断をしたわけだ。その結果、青色専従者給与として妻に支払った給与の額のうち、使用人の給与を比準した適正給与額を超える部分を労務の対価として相当ではないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.06.03裁決)