店舗経営上の行為状況等から所得の帰属先を判定
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:11/11/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 風俗店を営む事業所得の帰属を巡って、その帰属者の判定が争われた事件で国税不服審判所は、従業員名義で経営していた店舗に係る経営上の行為の状況、利益の享受状況さらに出資の状況等から、店舗の事業に係る所得は審査請求人に帰属すると判断して、審査請求を斥けた。

 この事件は、原処分庁が、風俗店の事業に係る所得の帰属先は審査請求人であると認定した上で、請求人に対して所得税等の更正処分等を行ってきたのが発端になったもの。これに対して請求人が、原処分庁の事実認定に誤りがあると主張して、原処分等の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 請求人側は、風俗店4店舗の経営者は別の者であり、各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人ではない旨主張した。つまり、請求人は各店舗の経営に関与していたものの、それは実質経営者である者から各店舗の経営を任されていたからにすぎないという判断からだった。

 しかしながら国税不服審判所は、請求人が各店舗の法律行為等について自らの名義又は自ら決定した借名を用いて行う一方、従業員を雇用、監督するとともに、収支を管理し、各店舗から生じた利益を享受していたと認定。

 さらに、各店舗に係る開店及び移転の各費用並びに出資に係る資金の負担者が請求人であったことからも、各店舗の経営者は実質的に請求人であったと認められると判断した。結局、各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人であると認定して、請求人の主張を斥ける裁決を言い渡した。

(国税不服審判所、2015.03.31裁決)