買取申出後6ヵ月以内に土地の譲渡はなかったと認定、棄却
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:12/14/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 公共事業のために国土交通省に土地を譲渡した際に公共事業施行者から受領した土地代金、補償金に対して収用交換等の特例が適用できるか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は、国からの買取等の申出があった日から6ヵ月を経過する日までに譲渡が行われていないと認定して同特例の適用は認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が公共事業に伴い国土交通省に譲渡した土地に係る譲渡所得には収用交換等の特例が適用されると判断して申告しなかったところ、原処分庁が譲渡所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めていたもの。つまり請求人は、公共事業施行者と課税されない旨の約束を交わした上で買取契約等に応じたものであるから課税すべきではないと主張、その取消しを求めたわけだ。

 これに対して裁決は、収用交換等に係る譲渡所得の特別控除の特例は、買取等の申出があった日から6ヵ月経過する日までにその資産が譲渡されなかった場合は適用されないと規定されている(措法33の4(3)一)ことに触れ、買取等の申出があった日とは原則、公共事業施行者が資産の所有者に、1)買取資産の特定、2)対価の明示、さらに3)買取等の意思表示をした日をいうと解釈。その解釈にそって、公共事業施行者が請求人に買取等の申出をした日を特定すると、請求人が売買契約等を締結したのは買取等の申出のあった日から9ヵ月近くが経過している事実を認定した。結局、最初に買取等の申出のあった日から6ヵ月を経過した日までに譲渡されていないことから、土地の売却代金に係る譲渡所得の金額の計算上、収用交換等の特例は適用できないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.10.08裁決)