債務免除益を不動産所得の付随収入と認定、審査請求を棄却
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:02/22/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 不動産の売買代金の支払いに代えて引き受けた債務の免除が不動産所得の付随収入に当たるか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は、経済的利益に当たることから不動産所得の総収入金額に算入するのが相当と判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、会社役員で貸金業及び不動産賃貸業を営む審査請求人の所得税の申告に対して、原処分庁が不動産の売買代金の支払いに代えて引き受けた債務免除益が不動産所得の総収入金額に算入されていないこと等を理由に更正処分等をしてきたため、その取消しを求めていたもの。

 つまり請求人は、債務弁済承認契約の不履行に伴って契約変更があったと主張するとともに、その後の交渉において確定した遅延損害金を支払っただけであるから債務免除益は生じていないと主張。また、仮に経済的利益が生じているとしても、それは法人から受けたものであるから、一時所得に該当するとも主張していたわけだ。

 これに対して裁決は、連帯保証人である請求人がローン会社に債務承認弁済契約に係る遅延損害金を支払い、ローン会社が債務者に対する遅延損害金の残額を免除したことで債務者の債務が消滅したと認定。その結果、引受債務の履行に伴い債務者に対して負っていた債務者の債務を履行するという請求人の債務も消滅するのであるから、経済的利益が発生したと認めるのが相当と判断した。

 つまり、債務者の債務を履行するという請求人の債務は、金銭的負担を必要とする債務の性格という判断からだ。結局、不動産の貸付けに関連して経済的利益を享受したと認定、その経済的利益は不動産所得の付随収入として不動産所得の総収入金額に算入すべきであると判断している。

(国税不服審判所、2009.12.16裁決)